病気やケガをしたとき
療養の給付/家族療養費
病気やケガのときは、健康保険を扱っている病院・診療所へ必ず保険証を提示して診療を受けます(現物給付)。
健康保険で受けられる療養の範囲は、次のとおりです。
- (1)診察・検査
- (2)医療処置、手術などの治療
- (3)薬剤や治療材料の支給
- (4)入院(食事療養・生活療養を除く)および看護
- (5)在宅診療および看護
- ※被保険者が業務上あるいは通勤途上で生じた病気やケガの場合は、健康保険は適用されません(労働者災害補償保険の適用)。
健康保険で受けられない診療
治療が必要な病気やケガとみなされない次のケースは、健康保険でかかれません。
- (1)美容整形
- (2)正常な妊娠・出産
- (3)歯列矯正
- (4)健康診断・人間ドック
- (5)予防接種など
保険給付が制限されるとき
健康保険では、次のようなケースでは、制度の健全な運営を阻害することのないよう、給付の全部または一部について制限を行うことがあります。
- (1)故意に事故をおこしたとき
- (2)けんか、酔っぱらいなどで事故をおこしたとき
- (3)正当な理由もないのに医師の指示に従わなかったとき
- (4)詐欺行為、その他不正に保険給付を受けたり、受けようとしたりしたとき
- (5)酔っ払い運転、スピード違反による運転など重過失で事故をおこしたとき
- (6)健康保険組合が指示する診断や質問などを拒んだとき
これら罰則的なものとは別に、次のようなケースでは、保険給付を行うことが事実上不可能だったり、他の法令が優先するなどしたりして給付が制限されることもあります。
- (1)少年院に収容させられたり、監獄に拘禁されたりしたとき
- (2)感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律など他の法令により、国または地方公共団体の負担で治療費が支給されたとき
医療費の自己負担割合
外来・入院を問わず医療費の7割が給付され、自己負担は3割となります。義務教育就学前までは2割、70歳~74歳の人は2割または3割を負担します。
医療機関における外来の機能分化を進めるため、紹介状なしで大病院を外来受診する場合、原則として初診時または再診時に3割~2割の自己負担に加え、追加負担が必要になります。
ただし、緊急その他やむを得ない事情がある場合については、追加負担を求められない場合があります。
入院中の食事代などの一部負担(入院時食事療養費・入院時生活療養費)
入院したときは、食事代の一部として1食(1日3食まで)につき490円※1(市町村民税非課税世帯は90日まで230円、91日以降180円)を負担します。
1食あたりの食事療養標準負担額
A | 一般(B、Cのいずれも該当しない人) | 490円※1 | |
---|---|---|---|
B | 市町村民税非課税世帯 (70歳以上の被保険者は低所得b) |
過去1年間の入院日数が90日以下 | 230円 |
過去1年間の入院日数が91日以上 | 180円 | ||
C | Bのうち、所得が一定基準に満たない70歳以上の被保険者(低所得a) | 110円 |
- ※1難病患者・小児慢性特定疾病患者は280円となります。
- ※BおよびCの人は「限度額適用・標準負担額減額認定証」を医療機関に提示する必要があります。なお、オンライン資格確認を導入している医療機関で、マイナ保険証で受診する場合は、認定証の提示は不要です。
療養病床※1に入院する65歳以上の人の生活療養標準負担額
1日あたりの食費 | 1日あたりの居住費 | ||
---|---|---|---|
一般(下記以外の人) | 490円※2 | 370円 | |
低所得者b (市町村民税非課税世帯) |
230円 | 370円 | |
低所得者a (市町村民税非課税世帯で なおかつ所得が一定基準以下) |
140円※3 | 370円 |
- ※1療養病床:特定の疾患を対象外とした病床のうち、主に長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるための病棟。
- ※2保険医療機関の施設基準などにより、450円となる場合もあります。
- ※3医療の必要性の高い人は110円
- ※指定難病の人は食費の一部負担(食事療養標準負担額と同額)のみです。
訪問看護療養費
訪問看護療養費/家族訪問看護療養費
在宅において継続して療養を受ける状態にある人(難病患者など※で医師が厚生労働省の基準により認めた人)が、安心して家庭で療養できるように、指定訪問看護事業者の訪問看護・介護サービスを受けたとき、支払った額の7割~9割が給付されます。かかりつけの医師が指示する最寄の訪問介護ステーションに、医師の指示書をもらって直接申込みます。看護師などの交通費実費や休日訪問などの特別料金は自己負担となります。
- ※難病患者など:
- 難病患者の人や重度障害の人、働きざかりで脳卒中などに倒れ、寝たきりの状態にある人、がんにかかった人で自宅で最期を迎えたいと希望する人など。
移送費/家族移送費
患者が病気やケガの療養を目的として移送されたとき、または重症患者の入院や転院などのときの車代です。
原則として医師の指示により、病気やケガで移動が困難な患者が、一時的・緊急的に通常の手段以外の手段で移送された場合に、最も経済的な通常の経路および方法によって移送された場合の費用として健康保険組合が算定した額の10割が支給されます。
手続き
事前に(やむを得ないときは事後)「移送承認申請書・移送承認書」に医師の意見書をつけて健康保険組合の承認を受けます。請求は「移送料請求書」に移送に要した費用の領収書を添え、人事または健保担当者経由で健康保険組合に提出します。
健康保険でできる歯の治療
通常の歯の治療は、他の病気やケガの場合と同じように3割※1を自己負担するだけで健康保険で受けられます。ただし、保険で認められていない特別な材料を使ったり、特別な治療を希望する場合には、次のように自己負担しなければなりません。
全部健康保険でできる治療をしてもらいたいときは、治療に入る前に歯科医師に相談してください。
- ※170歳~74歳の人は2割または3割、義務教育就学前の児童は2割。
差額診療
前歯の治療や義歯などに特別な材料を使う場合、健康保険の適用材料との差額を自費負担します。
自由診療
特別な治療を希望する場合は全額自費負担となります。